第一回丹松美由紀

丹松さんは、大学技術職員として約半世紀にわたるキャリアを経て、現在は研究サポート人材バンクで実験・研究補助、機器分析支援のサービス提供者として、また広報・PR支援・イベント企画立案担当としてご活躍されています。これまでの経歴、印象に残る活動、そして現在の挑戦と未来への展望についてお話を伺いました。

これまでの経緯

  丹松さんは、長年鳥取大学で機器分析を専門として活動され、技術職員の組織化や地位向上にも尽力されてきました。入職当初は公務員としてスタートし、その後、法人化に伴う業務形態の変化や組織再編に直面。技術職員が組織の中で新しい役割を担う重要性を訴え、技術職員有志の会や組織研究会を立ち上げ、技術職員の連携強化に大きく貢献されました。
  この取り組みを通じて、全国の技術職員が協力し合うネットワークが形成され、技術者たちが自身の専門性を活かしながら働ける環境が少しずつ整備されていったそうです。丹松さんは「全国の仲間と支え合い、技術職員が主役として注目される機会が生まれた」と語られます。
  また、技術職員の働き方の多様化を模索する中で、地域貢献活動にも注力され、科学啓発事業「出前おもしろ実験室」を立ち上げ、その成果により、地域貢献活動として学長賞や文部科学大臣表彰を受賞するなど、大学と地域をつなぐ新しいモデルを構築されました。
「大学への愛と技術職員への想いを原動力に、どのような困難にも向き合ってきました。」と当時を振り返ります。

印象に残るエピソード

「印象に残っていることの一つが、技術職員の組織化に向けて奮闘したことです」とのこと。
  当時、技術職員の存在や役割は十分にクローズアップされていませんでしたが、有志で集まった仲間と共に技術者の専門性や重要性を訴え、組織研究会などの立ち上げに奔走。その成果が、全国の技術職員のネットワーク強化や組織内での認知向上へとつながりました。
  また、「出前おもしろ実験室」も丹松さんにとって大きな活動の一つでした。地域の子どもたちに科学の楽しさを伝えるために立ち上げたこの取り組みは、全国のモデルとなるまでに成長しました。しかし、その裏には数々の逆風もあったそうです。「批判や困難もありましたが、それが自分の成長につながった」と、語られます。
さらに、当時の活動を通じて関わった方々とのご縁が現在の活動にもつながっておられ、研究サポート人材バンクの活動をお手伝いするきっかけにもなったそうです。

現在の活動と今後の展望について

  現在、丹松さんは、広報担当としてご活躍されています。イベント企画などを通して、研究支援の有効性を発信され「研究者と支援者をつなぐ架け橋になれたら」と語ります。
将来的に研究支援の枠を超え、地域社会や国際社会への貢献も視野に入れながら、「技術者が安心してその力を発揮できる環境をつくることが私たちの使命。その実現に向けて広報の力を活かしていきたいです」と、技術者たちの活躍の場の広がりに想いを馳せておられます。

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